Brewpub Ergo bibamus

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スペシャルベルジュ

随分と久しぶりの更新となってしまいましたね💦


今回は先日オンタップしたオリジナル、

「スペシャルベルジュ2020」について。


スペシャルベルジュって何ですか?とかなりの高確率で言われるのですが、説明すると結構長い…

なのでブログにて説明いたします!

かなり長いです(笑)


遡ること1842年、チェコでピルスナーが誕生します。

更にドイツでアレンジされたジャーマンピルスナーは世界中から求められました。


ベルギーでもピルスナーブームは過熱。

また、それ以前よりイギリスのライトなエールも相当輸入していた様子。

1904年、これまで培ってきた自国のビール文化が衰退するのではと危機感を覚えたベルギーの醸造組合は、初期比重が1.040-1.050(アルコール度数5%)の新しいベルジャンエールを造るコンテストを開催しました。


そこで優勝したのがアンバーカラーのエールであり、それを模して多くのブルワリーでスペシャルベルジュと冠する(もしくは単にスペシャルと)ビールが造られました。


ピルスナーがあったからこそ生まれたビアスタイルはいくつかあります。

ドイツのヘレスやドルトムンダーもその一つです。

それらビールに共通するのはゴールドカラー。

ピルスナーが生まれる以前、世の中のビールは皆

暗い色をしいました。

ドイツ人としては1にゴールドカラー、次いで飲みやすいということが重要だったのでしょう。


一方ベルギー。

ピルスナーに対抗して生まれたスペシャルベルジュの特徴は、度数が5%でアンバーカラー。

ベルギー人からするとピルスナーの魅力は、色よりも度数の低さだったのかもしれませんね。

何せベルギービールといえば6%を切るものは相当珍しく、ハイアルコールなビールを日常飲んでいたわけですから。


さて、アルコール度数5%以下のピルスナーに対抗できるベルギーらしいエールを造れと言われたらどうしましょう?


ベルギービールの特徴を一つ挙げるとすれば、私は酵母由来の甘くスパイシーな香味だと思います。

しかしこの香りはハイアルコールだからこそ出るもので、同じ酵母同じ発酵方法でも5%程の低アルコールだとほぼ出ないのです。


恐らくこのコンテストに出場した当時のブルワーは、カラメルモルトを使うことでベルギーらしい甘い香りを補ったのではないかと推測します。


でも現代の醸造技術を駆使すれば、ピルスナーに対抗し得るもっとベルギーらしいエールが造れないだろうか?との思いで今回スペシャルベルジュ2020を仕込みました。


まずピルスナーの特徴といえば、

・ゴールドカラー

・度数5%

・ドライで飲みやすい

が挙げられると思います。


なのでカラメルモルトなど色の付く麦芽は使用せず、極力甘みの少ないドライなビールになるよう設計しました。


そしてベルギー要素。

勿論ベルジャン酵母を使いますが、それだけではベルギーらしい香りは出ません。

先程高アルコールでないと特有の香りが出ないと言いましたが、正確には麦汁の初期糖度が高くないと出ないということです。

また同じ糖度でも小さな糖が多い方が香りが出ます。

(単糖とか二糖とか聞いたことありません?糖と言っても色んな種類、大きさがあります)


なので極力小さな糖になるよう仕込みました。

これはドライ(残糖が少ない)なピルスナーの特徴獲得にも共通します。


低初期糖度でも小さな糖の比率を高め、ベルギー酵母に食べさせて特有の甘い香りを出させ、5%のドライなゴールドカラーのエール、それが今回のコンセプトです。


そしてもう一つ。

ホップの特徴もやや強めにしてます。


それは今がまさに大IPAブーム時代だからです。

1900年に求められたのが「ピルスナーに対抗し得るベルジャンエール」ならば、2020年は「IPAに対抗し得るベルジャンエール」でしょう。


なのでSpicaのスペシャルベルジュ2020はピルスナーの要素とIPAの要素を取り入れたベルジャンブロンドエールとなりました。


自己評価としては、ベルギーらしいスパイシーな香りは十分、しかし甘い香りが出てはいるもののやや物足りない、酸がやや強いといった感じです。

リフレッシングな感じですので序盤中盤に飲むのが良いかと。

是非お試しください。






ここからは現代のスペシャルベルジュ情報。


ピルスナーに対抗して生まれたアルコール度数5%程のアンバーエールがスペシャルベルジュですが、マイナーなスタイルで聞いたことない方も多いと思います。


しかし例を挙げれば、デコーニンクやパルムといった有名ブルワリーのフラッグシップ銘柄がそれに当たります。スペシャルベルジュを生産するブルワリー数は少なくとも、消費量的には実は意外と飲まれているビアスタイルです。


ニシノが個人的に好きなのはデライクのスペシャルです。ビールの性質上耐久性が低いので現地で飲むのが良いと思います。


しかしこれらトラディショナルなスペシャルベルジュは窮地に追いやられているようです。

とにかく若者受けが悪く、徐々に売上を落としているのだとか

デコーニンクも愛称であるボレケを正式名にしてリブランディングをはかったり、パルムはオランダ大手のバヴァリア傘下に入るなど。

ちなみにバヴァリア傘下に入って販路が広がったのか、パルムがセイコーマートで売られているそうです。

劣化してないかなぁとか気になるところですが、セイコーマートって入ったこともなければ見たこともないのですが神奈川県にはないのかな?


一方でここ数年、スペシャルを冠してはいるもののトラディショナルとは違うものをリリースするベルギーのブルワリーもありますね。

ピーテッドモルトを使ったりワイルドイーストフレーバーがあったり。度数も6%だったり。

それらを集めてコンテストしたらどこが勝つかな?




日本では一時小さなベルギービールブームがあったように思いますが、最近ではあまり人気がないように感じます。ベルギービール好きとしては寂しいです。


まだまだ自分の造るベルジャンスタイルは未熟で試行錯誤ですが、ベルギービールの美味しさ、ビールの多様性を楽しんでもらえるよう精進します。


| 2020.07.20 Monday * 13:31 | ビール工房Spica | comments(0) | - |









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